京漆匠 象彦さんの、オンライン講演会ありました。
茶道具や懐石道具など、茶道とは繋がりの深い漆器ですが、製作工程をじっくり見る機会などないので、紹介の映像を大変興味深く拝見いたしました。
私なりに一番印象に残ったのは、「趣向」という言葉をおっしゃったとき。
京漆器を頼む人は、こんな場面で使いたいとかこんなおもてなしをしたいという趣向をもって注文していたと。
明治あたりから、生活用品から工芸品になってしまったとも。
その「趣向」という言葉。
茶会や茶事の準備のときに、趣向、趣向と言われると、なんとなく引っ掛かりを感じていました。
「どんなお客様をどうおもてなししたいか」とか「美味しいお茶を一服差し上げたい」という思いが先ずあって、それについてくるものだと思っていたので。
お客様と亭主の間にあるストーリーのようなもの。
だから同じ道具を使っても、お客様が違えば、あるいは亭主が違えばそこにあるストーリーは違ってくる。
うまく表現できないけれど、象彦さんのおっしゃる「趣向」の意味するところは、多分私がそうしたいと考えていることと同じ向きのもののように感じました。
亭主と客の間のストーリーを繋げてくれるものとして。